この夏に大学に入学した次男が、来年(大学2年生)からグリーク(Greek)寮に入ると決めました。入寮が認められるまでには様々なスクリーニング・プロセスを経なくてはなりません。私にとっては知らない不思議な世界だったので、以下アメリカの大学のグリーク・ライフについてまとめてみました。
歴史
グリーク・ライフ(Greek Life)の起源は18世紀後半に遡り、当初は文学や討論の秘密結社として機能しました。時と共に次々と多種多様な組織が生まれ社会的結束を強めていく中、20世紀初頭には、ユダヤ系やアフリカ系学生の差別排除から、民族系組織も登場しました。公民権運動後には多文化組織も増え、現在は900万以上の卒業生を抱え、歴史的に、グリーク・ライフは知的自由の場から、社会的ネットワークへ移行したと言われています。
目的
グリーク・ライフの主目的は、友情の構築、学術支援、指導力開発、奉仕活動の推進です。組織は「兄弟姉妹」意識を育み、メンバー間の絆を重視します。学術面では、勉強会や奨学金提供を通じてGPA向上を促します。指導力はイベント運営や役職を通じて養われ、卒業後のキャリアに活きるとされています。奉仕は慈善イベントやボランティアが中心で、毎年数百万ドルの寄付を達成しています。プロフェッショナル・フラタニティ(例: ビジネス系)は職業ネットワークを、サービス系はコミュニティ支援を強化し、全体として、大学生活を豊かにし、卒業生の生涯支援を提供します。
男女及び大学による違い
男女の違いは顕著です。フラタニティ(fraternity) は男性中心で、党派的な社交や競争を重視し、ハウス(寮)は大規模(20-50人)でアルコール中心のイベントが多いとされています。一方、ソロリティ(sorority)は女性中心で、感情のサポートやファッション・フィランソロピーを強調し、ハウスは清潔で小規模(10-30人)です。コエッド(男女混合)組織は少数で、プロフェッショナル系に多いです。大学による違いも大きく、南部の伝統校(例: アラバマ大学)ではグリークがキャンパス文化の中心で、募集週間に大規模イベントが実施がされています。北部リベラル校(例: ハーバード大学)はグリークを禁止し、多様性を優先しています。アイビーリーグ(例: ダートマス)では60%以上の参加率ですが、排他性な点も批判されています。小規模リベラルアーツ校(例: ワシントン・アンド・リー大学)では75%超の参加で、組織が住宅を所有しています。
入寮比率
全米の大学学生の約10-20%がグリークに参加しています。参加率は大学の規模や地域で異なり、南部で高く(アラバマ大学: 45%、うちソロリティ36%)、北部で低い(例: プリンストン大学: 18%)のが特徴です。男性は約20%、女性は約16%が加入しています。フォーチュン500企業の85%、議会の76%がグリーク出身だと言うのも興味深い点です。
弊害
グリーク・ライフの深刻な弊害もあります。ヘイジング(新入生いじめ)が頻発し、1975年以降毎年死亡事故が発生しています。アルコール乱用が原因で、フラタニティ在住者の過飲率は非メンバーの2倍と言われています。性的暴行も問題で、キャンパス暴行の多くがパーティーで起き、女性が被害者となるケースが多いです。 排他性が高い点(白人・富裕層中心)や、時間的負担が学業を圧迫し精神的ストレス(不安・うつ)を増大させる点も問題視されています。
有益性
一方、有益性も大きいとされています。友情形成が最も大きく、入学当初から縦横(先輩や同期の仲間達)のネットワークを提供し、孤独を防いでくれます。役職経験が指導力開発に役立ち、就職に有利です。奉仕活動でコミュニティに貢献出来ます(ボランティア時間は非メンバーの2倍)。学術サポートが手厚いのでGPAが高く、卒業率は90%超えるそうです(キャンパス平均は82%)。何より卒業生との繋がり(メンタリング・就職紹介)がグリーク出身者の満足度を上げているようです。


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